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「LIVE & CULTURE」 WEB MAGAZINE by HOT STUFF

「LIVE & CULTURE」 WEB MAGAZINE

食べ物つながりで歌を味わうコラム 「よんで きいて たべる」 第7回 かぼちゃ(とシナモン少々)

10月の最終日、
みんな思い思いに変身する。
カボチャは
ランタンに、お菓子に、馬車に、
そして人々は
お化けに、ミイラに、魔女に、
アニメのキャラクターに、
スーパーヒーローに、
シンデレラに、
そして
あの人の恋人に、
…とにかくなりたいものに。

トリックオアトリート!
一夜の魔法“的”な力を信じて
呪文を唱えながら
街を練り歩く。
その中に恋を欲する
人々がいたなら
媚薬としてのシナモンは
その力を発揮するだろうか。

一夜あけて、
お化けの去った街は
つかの間、
静寂を取り戻すが、
みんなが主の誕生を
フライング気味に祝おうとする
喧騒にまた包まれる。
その期間中の
太陽が最も隠れる日、
かぼちゃは
ひっそりと煮物となって
家庭の食卓にのぼるのであった。

 

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「トリックオアトリート」と
Tommy heavenly6が
パンプキンモンスターとともに、
お菓子の世界に誘う夜。
良い子も悪い子も一緒に、
怖い夢も
王子様が出てくる夢も
見せてくれる。
夜があけても終わりじゃない。
それらはいつか
現実となることを
知っている。
そう信じている。

ハロウィーンの日。
小沢健二の描いた「僕」は
シナモンの香りで変身する。
かぼちゃの中には光、
オレンジ色に塗られた都市。
無意識に神話に沿って
魔法“的”な力を感じながら
「君」と「僕」の毎日は進む。

夢が現実化し、そして生活となる。
さまざまな世界線を
かぼちゃのランタンに灯る火をたよりに渡りゆこう。

シナモンスティックは
魔法のステッキとなったか?
かぼちゃのパイと
シナモン・ティーが
人気メニューの喫茶店。
そこのマスターの恋のゆくえを
さだまさしの描いた僕らは
野次馬的に見守った。
その結果は25年後に
アンサーされる。
それは恋が熟しまくって
変容し、家庭となるのに
充分すぎる年月だが、
魔法の効果だって
とっくに切れている。
さあどっちかな。


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今回とりあげた曲
Tommy heavenly6『Lollipop Candy♥BAD♥girl』
歌:Tommy heavenly6 作詞:Tommy heavenly6 作曲・編曲:Lucy Henson, Brian Valentine
収録アルバム『Heavy Starry Heavenly』他
(2006.10.11リリース)
http://www.sonymusic.co.jp/artist/Tommyheavenly6/discography/DFCL-1348
Official Site:https://houseoftmy.com/


小沢健二『シナモン(都市と家庭)』
歌:小沢健二 作詞:Ozawa Kenji  作曲:Ozawa Kenji
収録シングル
『フクロウの声が聞こえる』(小沢健二とSEKAI NO OWARI)併録
(2017.09.06リリース ※Single)
https://sp.universal-music.co.jp/ozawa-kenji/index.html#store (内のページ)
Official Site:http://hihumiyo.net/


さだまさし『パンプキン・パイとシナモン・ティー』
歌:さだまさし 作詞:さだまさし  作曲:さだまさし
収録アルバム
『夢供養』他
(1979.04.10リリース)
https://www.sada.co.jp/discography/original_album/temp.php?disc=disc_al790410
Official Site:https://www.sada.co.jp/

食べ物つながりで歌を味わうコラム 「よんで きいて たべる」 第6回 ポテトサラダ

 

お店のメニューで
ポテトサラダの文字があると
不思議と安心感をおぼえる。


家庭とちょっぴりのよそ行きが
入り混じったそいつは
偶然、外で会った時のきょうだいに
ちょっと似ている気がする。
 
そんな身近な定番は
作るのが少々めんどうだ。
愛(か、カネ)がないとやる気が出ない。
いくつもの工程を経てできたポテトサラダ。
そのもったりしたテクスチャの包容力を見て
これもまた愛の一形態かと思うのは
少々大げさなんだろうか。…まぁいっか。
 
 

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入江陽の描いた「ふたり」は
居酒屋でお通しが多くて笑っていた。
卵焼き、ポテトサラダとかいろいろ。
「ふたり」がどんな間柄でも
なんとなくつまめて場が持って。
直近のたのしげな運命も
なんとなく感じられる、
そんな雰囲気。
 
そんな軽めの居酒屋を出て
さらに向かった
暗がりの酒場なんかで
ZAZEN BOYSの
描いた主人公が
ボウルいっぱいの
ポテトサラダを喰いたいって
切望していた。
それを切欠にプリミティブな
欲望が噴出する!
 
さまざまな感情も具材も和え込んで
ポテトサラダは不可逆の安心感とおいしさをもたらす。
 
MOSHIMOの描いた「僕」は
不安定な色々を抱えていた。
空腹、満たされないあれこれ、
“あの子”や“この子”
いや“君”を行ったり来たり…
だけど揺るがないものだって持っている。
それは

冷蔵庫の奥に発見した
ポテトサラダ。
結局一番好きなんだ。
一口食べて夢の世界へ、
おやすみなさい、
夜中の夢の魔法。



今回とりあげた曲
入江陽『5月』
歌:入江陽 作詞:入江陽 作曲:カマクラくん・入江陽
収録アルバム
『SF』
(2016.01.20リリース)
http://irieyo.com/20160104/668
Official Site:http://irieyo.com


ZAZEN BOYS『ポテトサラダ』
歌:ZAZEN BOYS 作詞:Mukai Shutoku  作曲:Mukai Shutoku
収録アルバム
『すとーりーず』
(2012.09.05リリース)
http://www.mukaishutoku.com/download_stories.html
Official Site:http://www.mukaishutoku.com/zazenboys.html


MOSHIMO『ポテトサラダ』
歌:MOSHIMO 作詞:岩淵紗貴  作曲:岩淵紗貴
収録アルバム
『触らぬキミに祟りなし』他
(2017.05.10リリース ※mini album)
http://www.lastrum.co.jp/labelproducts/10125/
Official Site:http://band-moshimo.net/

食べ物つながりで歌を味わうコラム 「よんで きいて たべる」 第5回 パンケーキ

幼いころのおやつタイムに
家のフライパンで焼いていたのに似た
素朴なあまい円盤は
テン年代に家庭を飛び出し、
キラキラフワフワの
まるで雲みたいなデコとともに
ストリートに浮遊するように
なって幾年月。

丸い粉もの × ガールの
方程式から導かれる流行は
毎度手を替え品を替え町中を巡り、
スマートフォン画面の
真ん中にDopeに鎮座する。

めまぐるしい変化と
おびただしい情報の
ミックスされた渦に
巻き込まれる
恋するボーイ諸君、
いつか、一緒に
たしかな意志をもって
パンケーキ的フワフワに
包まれ…

…る日がくるといいね。

 

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パンケーキを頬張ってる「君」、
かわいい×かわいいは無敵。
ONIGAWARAの歌う「僕」は
そんな「君」のボーイフレンドになりたい!
このまま最終の小田急に乗ってっちゃおう!と誘う。
そんでもって乗り換えて
Chigasakiまで行っちゃおうか。

 

そうして着いたChigasakiでは
Suchmosの描いた主人公が
並ぶためにパンケーキを
食べる人々を見つめていた。
流行や時間や制度に追われている人々、
少数派多数派変わりばえしない決まりごと、
これが日常?

 

思惑・感情、
トッピングしまくっても、
パンケーキってシンプルで、そこがよくない?

 

キッチンからただよう溶けたバターの匂い。
never young beachの描いた「僕」は
パンケーキの出来上がりを家で待っていた。
流行から一歩抜け出たそれは、
日常の色々をフカフカと受け止めてくれるんだ。

 

 

今回とりあげた曲
ONIGAWARA『ボーイフレンドになりたいっ!』
歌:ONIGAWARA 作詞︰竹内サティフォ 作曲:ONIGAWARA
収録アルバム
『欲望』他
(2016.03.16 リリース)
http://www.lastrum.co.jp/labelproducts/9161/
Official Site:https://www.onigawara.club

 

Suchmos『GAGA』
歌:Suchmos 作詞:HSU 作曲:HSU
収録アルバム
『THE BAY』
(2015.07.08 リリース)
https://spaceshowermusic.com/release/20266550/
Official Site:https://www.suchmos.com


never young beach『気持ちいい風が吹いたんです』
歌:never young beach 作詞:Yuma Abe 作曲:Yuma Abe
収録アルバム
『A GOOD TIME』
(2017.07.17 リリース)他
http://bayon-p.com/release/770
Official Site:http://neveryoungbeach.jp

Slow LIVE'18 in 池上本門寺 15th anniversary ~9/1公演号外~

3日間開催が終了しました、

” Slow LIVE'18 in 池上本門寺 15th anniversary ”

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にて会場の状況を発信しておりましたので、ご覧いただき思い出に浸って下さい!

 

こちらでは、会場でも配布していた9/1公演のライブレポートを掲載いたします。

来れなかった方も、これを読んでライブを見た気分になってください!!

 

 

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