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「LIVE & CULTURE」 WEB MAGAZINE by HOT STUFF

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食べ物つながりで歌を味わうコラム 「よんで きいて たべる」 第8回 おでん

北風がぴゅうと吹いたらおでん解禁。

大根こんにゃくがんも玉子はんぺん
○○(任意のお気に入りおでん種を代入せよ)の
絶対定番神具材に加え、
ロールキャベツに代表されるニューウェーブ具材も定番化、
さらには各地方ローカルルールも入り乱れ、
浸み入る出汁は底の見えないような濃厚茶色から
透明度を増した澄んだものまで、
21世紀のおでんはますますカラフルで楽しい。

毎日続くとちょっと飽きちゃうけれど、
手作りだと大量にできてしまうし、
それがおいしい。
財布に優しくて、程よくごちそうぽくもあり、
得意料理としたくなる。

だからこそコンビニでも屋台でも、
外でおでんをひとりで食べるときは、
より寒風が沁みるとき。
それが必要なときもあるし、
心と体を瞬間的に暖めるには充分だ。

ただ、長くはもたないから、家に帰ろう。

 

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おでんを作りながら
種ともこの描いた「私」は
セピア色の鍋の中、
たいして変わりばえしない
材料と調味料を眺めているうち
皮肉もふつふつ…
それもそのうち煮くずれて
つい、帰っておいでと
呼びかける。

「うち」のおでん鍋の前で
もしくは
コンビニの四角い鍋の前で、
ふぇのたすの描いた主人公は
どれを食べようか悩む。
「あなた」は何にしたのかな。
おでんは種も食べ方も作り方も
頻度も豪華さもさまざまだけど
一緒に食べたい気持ちは
変わらない。

誰かと食べてもひとりでも
噛めば
しみこんだ
出汁と気持ちがあふれ出る。

銀杏BOYZの描いた「僕」は
フォークギターを弾きながら
気持ちを歌に乗せて吐露する。
大人になる(と言われている)間の
名状しがたい、いやな感じのせいか
コンビニのおでんくらいしか食べられないし、眠れない。
今日より大人に近づいてるはずの明日にちょっとだけ期待して
いつまでたってもドキドキしてたいと願う。

 

今回とりあげた曲
種ともこ『おでん』
歌:種ともこ 作詞:種ともこ 作曲:種ともこ
収録アルバム『おひさま』(2007.05.23リリース)
Official Site:http://www.tomokotane.com/

ふぇのたす『おでん伝説』
歌:ふぇのたす 作詞:山本奨 作曲:山本奨
『限定おでん』※1日限定販売DLカード(2014.05.04)収録
https://soundcloud.com/phenotas/kkrctmm2my6r  にて鑑賞可能
Twitter account:@phenotas

銀杏BOYZ 『なんとなく僕たちは大人になるんだ』
歌:銀杏BOYZ 作詞:峯田和伸 作曲:峯田和伸
収録アルバム『DOOR』(2005.01.15)他
Official Site:http://www.hatsukoi.biz/